就業規則作成

(1) 就業規則を見直しませんか

 就業規則は「常時10人以上の社員を使用する使用者」に対して作成義務を課しています。
作成単位は場所を単位に考えます。支店ごと工場ごとの人数を確認してください。

 就業規則は会社で働く社員と会社の間での約束事をまとめたものですから、本来、作成する会社によってその内容も変わる必要があります。
作成された就業規則によって会社はよくもなれば悪くもなる。安全になれば危険になる要素があります。重要なことは「就業規則が会社と労働者の約束」になるからです。


(2) こんな状況は危険です

 就業規則はあるが、昔、監督署の雛形を使って作成してからそのままであったり、大手企業退職者の中途採用の幹部社員にお任せで作らせたりで、社長自身が中身を知らないなどということはないでしょうか。

  1. 現状のルールと内容が違う。
  2. できない約束が載っている。
  3. 懲戒規定がない。あっても懲戒事由が会社の必要とする内容を網羅していない。
  4. 休職の規定や解雇のルールが明確でない。
  5. パートタイマーなど正規の社員と違う雇用形態の社員の規定がない

こんな状況は危険です。

1・2のようなルールでも従業員に周知されている限りそれがルールとなっていること、例えば昇給規定だけで、降級に対応していなかったりすると給与見直しの際に問題です。
3の懲戒規定が不十分だと問題社員を懲戒処分に出来ません。(社員を懲戒処分にする場合には懲戒規定が必要です。つまり懲戒規定がない会社は社員を懲戒処分に出来ません。)
現在増え続けているうつ病対策など?の休職規定がしっかりしていないと対応できません。
5のようにパートタイマーの規定がないばかりにパートに退職金を請求されたり、正社員なみの有給休暇を請求されたりしては大変です。

まずは「就業規則診断」をしてみてください。


(3) 就業規則を活かしましょう

会社のルールが明確だと社員も社長も安心して仕事や経営に専念できます。
賃金規程や服務規律などで、経営の方針などを落とし込むことも出来ます。

就業規則の作成を「リスク対策」のみで終わらせるのはもったいないことです。


(4)  重要性を増す就業規則

平成20年3月から施行された労働契約法でも就業規則の位置づけが高く、第7条では「合理的な労働要件が定められている就業規則が周知されている場合は労働契約の内容は就業規則で定める労働条件による」ものと規定され、第10条では「労働契約の変更にあたり変更後の就業規則が周知され、かつ就業規則の変更が、労働者の受ける不利益の程度、労働条件の変更の必要性、変更後の就業規則の内容の相当性、変更の交渉の状況その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的である場合は就業規則の変更による労働契約の変更を認めています。」つまり労働契約法においては就業規則が合理的に作成されている場合は、労働契約の内容は就業規則で運用するように定められているのです。


(5) 社員数10人未満の場合も作成しましょう

上記のとおり、会社ルールの制定は、労務管理上重要であり、「会社のリスク対策」としてまた「より御社らしい会社経営のルール作り」のために、「労働者が安心して働ける環境づくりのために」また「会社発展のために」積極的に作成を検討してください。10人以上社員が増えて会社のルールができるわけではありません。少人数でもルールは明確にしておきましょう。


イラスト:職場の雰囲気